2021.07.19
日時:2021年7月15日(木曜日) 18時〜19時
場所:WEB会議(ZOOM)
参加団体・企業:28団体
参加人数:33人
「おたがいさま会議とよた」のホームページが出来上がりました。参加団体・企業はHP上にバナーを載せることが可能です。ご希望の企業・団体は案内メールに記載されている事務局か鈴木までご連絡ください。審査は事務局で行います。
案内メールをご希望の方はフェイズブックかHPにある参加申し込みフォームに登録ください。
前回の会議後、お話いただいた栗本氏と豊田青年会議所のメンバーでもある保険関係の会社の方とつながりを持つことができました。
一般社団法人おいでん・さんそん 鈴木辰吉氏
一般社団法人押井営農組合の源流米ミネアサヒCSAプロジェクト取り組みについて紹介。
高齢化や人口減少により消滅しつつある集落を、消費者とおたがいさまの関係を築き農地を存続させる取り組み。
豊田市押井町(押井の里)岐阜県との県境にあり90%が山林となっており、人口は80人、縄文時代の遺跡が3ケ所あり約3000年前から人が住んでいた地域であり、そんな地域がこの50年ほどで何故消滅してしまうのか。これまで続いてきた自給自足の生活から現代の損得重視の価値観へと大きく変わり、米作りが儲からないとお金で価値を図ると地域に人が住む意味が無くなってきてしまう背景に対して、損得で考えない自給家族の取り組みが始まった。
2019年に行ったアンケートでは10年後農地の管理ができなくなる農家が54%と深刻な問題となっている。2004年に発足した押井営農組合は機械協同型集落営農を2018年の寄り合いで10年後には経営農地が半数になり、経営が成り立たなくなってしまうことが予測されることから、CSAプロジェクトに踏み切った。
2020年から始動した源流米ミネアサヒCSAプロジェクトは、法人を立ち上げ農地の集約化、自給することの収穫の喜びと食の安心を共有でき、米を買ってくれる家族と長期契約(自給家族)を交わす、ライスセンター等機械設備の充実からなる。農地の集約化は地域まるっと中間管理方式にて行い、耕作できない農地が荒れない仕組みとした。
消費者(自給家族)には米は農薬・化学肥料を半分以下にした特別栽培米を作り、安全性の高いものを提供し、地球や人にやさしい消費、自然や人の温もりを感じることができる親せき付き合いのような体験をしてもらう。押井の里は農の営みが続き農地が守られ集落の消滅を防がれる、関係人口が増え交流が生まれるという、WINWINの関係が生まれる。
ポイントとしては、集落営農組織化・農地集約化の為の住民の団結が不可欠。里の各種イベントへの招待、空き寺を整備し自給家族が無料で宿泊できるようにするなど生産者と消費者が一つになる取り組みを行い持続性を持たせ、家族としてつながりを持ちながら農業労働力を確保すること。
下山地区で現状について
KINOファーム 木下貴晴氏
KINOファーム豊田の下山地区で米・露地野菜を作る専業農家。下山地区でも同じような課題はあるが、木下氏の住む羽布町はでは比較的若い世代が多く、危機感を感じている人は少ないが、10~15年後には押井町と同じような状況にはなることが予測され、木下氏に田んぼを引き継ぎたいと申し出る農家もあるが、一人では受けきれない現状にある。
一番の課題としては労働力の確保、また農地を拡大したとしても販路の確保が難しい。押井町のやり方が下山でもうまく取り込むことができればと思っている。農地を守る為の労働力の確保として、土木建築業などとマッチングし労働力のシェアなどできないかなど考えている。
都市部の人たちにしてほしいことはありますか?
→鈴木氏:自給家族の損得ではない幸せを知り新しい価値観をもってもらいたい。
横展開について構想があれば教えてほしい
→鈴木氏:押井の里のやり方はビジネスモデルとしても成り立つのかもしれないが、集落の田畑を守るという観点から、そうした価値観を共有できる都市部の人の力を他の集落にも貸してもらえると横展開につながっていく。また、集落単位ではこの方式は住民の総意が必要なので、農家単位、田畑単位で行えばできるのではないか。
押井の里の自給家族に登録している人はどんな人たちが多いのでしょうか?
→鈴木氏:愛知県内がほとんどだが、東京や北海道の他県のこの取り組みが面白いと感じてくれた人登録している。知り合いのばかりではない。民宿を営んでいるので、そのお客さんが3分の1ほどいる。
労働力は年中必要か?
→鈴木氏:3月中旬から11月まではフルタイムで機械のオペレーターとしてフルタイムが1人いる。稲刈り等がない時期は草刈りを行っている。押井営農組合の社員と草刈りの多業という形になっている。
押井の里の方式は米作りでないと成り立たないのか?
→鈴木氏:CSAという方式はもともと日本発祥で、野菜から始まっているので、他の作物でも可能。
押井の里の方式を下山でやっていくとしたら何が必要か?
→木下氏:一番必要なものは地元のみんなの気持ち。この先自分たちの集落がどうなるのかピンと来ていない人がまだ多い。
2021年7月29日(木曜日)ポストCOVID-19 競争の次元としてのエコシステム
小竹暢隆 氏(元・名古屋工業大学大学院教授)
押井町が集落営農まで進められるほどメンバーが団結できたことに驚きを感じた。
今回の押井の里の方式はとても画期的な取り組みだが、メンバーの意識や地域の特性によって、その地域にあった形で多様性のある進め方をしていく必要があると感じた。
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